Cindy Sherman

ビールをわりと呑みました。そんな季節が到来です。昨日の画像はシンディ・シャーマンでした。大好き好き好き好きです。昨今すっかりアートワークの一スタイルとして確立された感のある、演出を凝らしたセルフポートレートの元祖にしてプリンセス。シンディ…

『田園に死す』寺山修司 

〜長子 地平にあこがれて 一年たてど 母死なず 二年たてども 母死なぬ 三年たてども 母死なず 四年たてども 母死なぬ 五年たてども 母死なず 六年たてども 母死なぬ 十年たちて 船は去り 百年たちて 鉄路消え よもぎは枯れてしまふとも 千年たてど 母死なず …

『グロテスク』桐野夏生 女女女…

「光り輝く、夜のあたしを見てくれ」 昨日思い出した東電OL殺人事件。あのとき私は十代で、特に引っかかるものを感じるわけでもなく、なんか変な事件だなぁと思って通り過ぎていったわけですが、数年後、大好きな作家がこの事件をヒントに書いた本で、この事…

石田徹也

古都に身を置く私はどうしても行けないのですが、これは絵に興味がない人、絵はちょっとわかんないやという人もぜひ私の代わりに行ってみたらいいなというのが、石田徹也追悼展です。6月5日〜15日まで、銀座の3ギャラリーにて開催中。 この人はムサビ在学中…

降り積もる

道路にたまった桜の花びらin京都。1ヶ月前。 平均的なアメリカ人の感覚では、舞い散った花びらはピンクのゴミなのだそうです。つぼみが膨らんで、七分咲きになり八分咲きになり、最も美しく咲き誇りながら散っていく儚いピンクのゴミの吹雪を、美しいと思え…

『イケズの構造』に打ちのめされる

そんなこんなで4月からの新住居も押さえて、契約もつつがなく終えそうだという段階に至り、まあ乙女1匹の住処、フローリングとBSがあることと光ケーブルと非北向きは譲れない。そんなお部屋はオートロックと風呂トイレはセパレーツが付いてきた。しかし京都…

リロイがいなかった… 

J.Tリロイが存在しない…。えっと、何年か前にジャパンに来たよ。あれは、うそ?何処ぞの雑誌にインタビュー受けていたよね。あの人は、うそ?一体誰このリロイ。誰、誰なんこの写真。心の綺麗な乙女にだけ見える妖精? リロイさんは大掛かりな嘘だったそうだ…

「存在の耐えられない軽さ」ミラン・クンデラ

メビウスの輪と言ったれば、永劫回帰と響いてくる。この本もまた青い私の頭を鈍器で殴った一冊。 ニーチェの説を超マイナスで捕らえて再構築し、ちっぽけな存在の虚しさに切り込んだいうと語弊があるんだと思います。超遊び人の医者と、田舎者のおぼこい娘と…

「鏡の中の鏡」ミヒャエル・エンデ

私とは誰なのか。世界は何処にあるのか。私の抱くミヒャエル・エンデのイメージはこの2つで、「モモ」も「はてしない物語」も、子供の頃から何度も読み返してきた本。いずれも感想なんて書ききれないくらいに大好き。好きな作家は?ときかれれば真っ先に思い…

歌う悪霊

絵本好き女子一匹。民話大好き。悪魔とか人喰い鬼とか魔女とか魔法とか、すごく心躍るものなのに、昨今わざわざそういうものを、やれ残酷だなんだと排除していて、人魚姫がいつまでも幸せに暮らしたり、桃太郎が鬼を説得したり、いびつな道徳心というか過剰…

母の発達

たぶん随分前に紹介したこの本。もうこの際、このカワイク憎い化け物で遊んじゃえ。そうして泣き笑いして忘れちゃえよ。 「そやからもう、孫の顔が見たいとか言わんといて、なあお母さん」

神の道化師

これは本当に誰どんな人にも分け隔てなくお勧めしたい大好きな絵本なので、今すぐ注文したら良いと思います。 ソレントの孤児であるジョバンニがジャグリングの才能に目覚め、イタリア中の観客を沸かせる人気道化師となり、やがて年をとり浮浪者へと戻り、懐…

狂人の太鼓

みてこれ!みてこれ!素敵!リンド・ウォードによる、120点の木版画で綴る寓話。長編絵本というか文字の無い小説というか、どっちでもいいけれど、紙質といい構成といい、文句なしに魅力的な一冊。 奴隷商人だった父の持ち帰った太鼓。父の教えを守って本に…

Irina Ionescoと伊島薫

イリナ・イオネスコが自分の娘を被写体に究極の着せ替え人形ごっこをした写真集『エヴァ』に比べ、これはカラーで被写体も増え、ぐっ娼婦性の比重が増えた感じ。エヴァは相変わらず神々しいまでに娼婦娼婦している。全体的にとても美しいです。コスチューム…

吉田良

球体関節人形の大家。和を強く思わせる顔立ちと静謐な表情はとても綺麗。 解体人形(Articulated Doll)―吉田良人形作品集

『人形−ギニョル−』加虐と被虐の悪しき世界

その背表紙に書かれた題名で手に取り、「あ、これは吉田良だわ」と中を開いてふふん、ほうらやっぱりね。と一人得意がる。そうしたらこれはホラーサスペンス大賞受賞とあったので、何やら胸が騒ぎ迷わず連れて帰った。佐藤ラギという作家。 内容は「美少年」…

『ロリータ』

ロリコンて、もはや少女愛のバイブルたるウラジミール・ナボコフの『ロリータ』とはなんだか別ものに思えるのは、やはり文学というフィルターを通ったいるからなのかも。 小説はものすごく魅力的な文章で、細かな描写で老いの醜さや存在の悲しさを焙り出す傑…

Georges de La Tour

紛らわしいながら、上の蝋燭はこの人。西洋画家で蝋燭というとジョルジュ・ラ・トゥールという感じ。夜の画家ラ・トゥールの蝋燭は暖かいです。 画像全体像

高島野十郎

これには是非に行くべきだと言われていたので、もろもろの雑事とあわせて福岡県立美術館へ郄島野十郎を観に行った。 この人は今後評価が高まっていくだろうといわれている孤高の油彩画家で、細密画出身という描写力もさることながら、ゴッホに強い影響を受け…

ヴェニスに死す

トーマス・マンの傑作。芸術家の生み出す美は、自然発生する美の前では圧倒されるしかないのか…みたいなジレンマが根幹なのかなぁ。しかし全編を多い尽くしているのは美への陶酔。絶対的な美の前に屈服し、恍惚とともに破滅してゆくおっさんの話。 この小説…

Edward Hopper

エドワード・ホッパー大好き。人物の日常の一瞬を切り取ることで、そこにその人物の抱える孤独や寂しさや、日常の虚しさや倦怠を映しす静かな画面にぼんやりとした寒さが満ち満ちています。

メルヘンの深層心理を分解する

中学生になるまでテレビはNHK!低俗な番組は害悪!という環境で本に埋もれて育った夢見る少女だった訳ですが、我が家には岩波の完訳グリム童話全集もあり、河合隼雄あたりのメルヘンの深層に関するユング本なんかも豊富に取り揃えてあったので、今でもメルヘ…

ママの完璧なおもちゃ『Eva』

ママの着せ替え人形の究極の形。ここまで来ると何だか残酷な気さえするほど、エヴァはどこまでも可愛くて美しくて完璧な人形。酷い親ともいえるような。でも思わずひれ伏したくなるような美しさ。 もう一冊は、完全に少女を幻想の生物として一冊に詰め込んだ…

ファザーファッカー

内田春菊の私小説といわれている話。読んでいて気持ち悪くなった。きつい…。この本のつらいのは、この凄まじい話を読んで救われる女子がいるっていう事。どこまでがノンフィクションかは分からないけれど、淡々とした語り口の冷静さが余計に痛ましい。きつい…

土井典のバッドマザーなデブ女

土井典という立体造形作家がいて、四谷シモンとともに日本の現代人形史のパイオニア的存在。澁澤龍彦とも交流があり、ベルメールの下半身少女の復元とか、仮面やらオブジェやら人形やらを創っている人で、この人の比較的新しい人形は太った女がモチーフ。 な…

乙女フィルターで見るめくるめく澁澤世界

少女趣味を「フリルまみれの暴力世界」と最初に例えた人は素晴らしいと思う。それでこのごてごて装飾過多な世界をこよなく愛しながらもそのメイン街道に流れていそうな少女漫画というものに触れぬまま成人してしまい、今この時に10代であったとしても、ロリ…

うっとりするこの感じ死体

もうずっと欲しいな欲しいよと思っている写真集『死体のある20の風景』イジマカオル(伊島薫)です。欲しいよー欲しいよー。単なる死体写真が見たいなら、そういう嗜好の方向けのマニアックな凄い写真集も多々あるけれど、そうじゃない。この写真集は凄惨な…

ハンス・ベルメール写真集

シュルレアリスムの鬼才ハンス・ベルメールがすごい好きなのです。 現在入手可能な写真集は2冊あって、値段は倍以上でも象牙色の方が断然おすすめ。これは'04年に復刊されたものなんだけれど、'92年発行のオリジナルとは幾つか違う点があって、今現在の日本…

松浦理英子

この人の『親指Pの修行時代』は是非押したいです。ある日親指がペニスになった女子が、性的異端者ばかりの見世物一座に加わり、どさまわり。彼らとの交流を通じて成長していく性の一大叙事詩。ジェンダーを鮮やかに軽やかに描き出すというかぶった切る、クー…

神の子 神の道化師

ニジンスキー関連を一挙に取り込んだことがあります。コミックを読まない私は活字専門です。なんといっても一番胸を打ったのは本人の手記でした。最後の数行で号泣です。やすらかにおやすみ、というのが本人とあまりにもリンクしているのだもの。鈴木晶のニ…