松浦理英子
この人の『親指Pの修行時代』は是非押したいです。ある日親指がペニスになった女子が、性的異端者ばかりの見世物一座に加わり、どさまわり。彼らとの交流を通じて成長していく性の一大叙事詩。ジェンダーを鮮やかに軽やかに描き出すというかぶった切る、クールでディープな一冊。長いのにテンポもよく面白いので、上下であっという間。肉体感覚を超えてのセックスや性愛について独特の視点で組み上げられた素敵な成長譚。
『ナチュラル・ウーマン』。ひりひりするくらいに擦れ合う関係が描かれています。正直私はさほど情熱的なソウルをもっておらず、重い恋愛なんてちょっとなあ、もっと力を抜いていこうよタイプでありますが。しかし、こういう恋愛は実際あるのかとか、当のレズビアンがみなこうかといえば全くそうじゃなかろうとも、かなり読ませます。映画は観たいなと思っているまま放置。緒川たまきだなんて、素敵過ぎる。素敵過ぎる。素敵過ぎる。
『肥満体恐怖症』にはうなりました。贅肉、デブ、豊饒、母性への嫌悪感など一緒くたになった何やらが渦巻くキモさ怖さが生々しい。
これは沼正三の『家畜人ヤプー』。表紙の金子國義の絵がまた素敵。