京女の魔力①

mxoxnxixcxa2005-07-27

 近々長期で京都に行く用事があるんだけれど、ここの雅な文化の奥深さには行く度に新しい発見がある。なので今日は京女的おねだり術を女子の皆さんに教えてさしあげたいんです。
 あるカウンターのみの小料理屋で、ここの女将さんは40絡みの京女らしく少々きつめだけれどとても可愛らしく綺麗な人で、着物と割烹着がとても素敵。そんな京女と常連客と思しき中年男性の会話。しばしの沈黙の後に、こう切り出す。京女はカウンター内で俯いて何かをとんとん刻みながら。
京女「ねえ○○さん、ちょっと相談あんねんけどぉ」 お客「なんや、難しいことはあかんよ」 京女「難しいことと違うわぁ」 お客「なんや、何でも言うてや」 京女「あんなぁ、指輪の話、どうなったん?」 京女は始終ちょっぴりスネた様な口調でずっとまな板の上のものをとんとん。
 お客「ああ、あれか?いや今な、ええのがないんやなあ。サイズはあるんやけどな、石がなぁ」 京女「もう何でもええわぁ」 お客「そうか?安いのしかないんやなぁ」 京女「……もう、なんでもええわぁ」“なん”と“ええ”にアクセント。
 これはおねだりだ!同行者と顔を見合わせた。カワイイよ。もうもう、なんでもこうたるよ。私も喉元の此処まで出掛かった。しかも最後のこれ、“……”この微妙な沈黙で「安もんはイヤやわ」というのを伝えている。お客は即座に「ほなあとでいくつか持ってくるわ」みたいなことを。
 京女が自分で払うのなら、“安もんでも何でもええわ”は言わないだろう。「ちょっと相談あんねんけど」「…もうなんでもええわぁ」カワイクややスネ気味の投げやり口調このセット。顔をまじまじと見ながら言っちゃダメ。何かやりながら、あくまでもさり気なく切り出す。ナニカしながら“特に気にしてるわけじゃあらへんのやけど”というスタンスを崩しちゃダメ。
 そんなこんなで私と同行者は、その日の残りをずっと京女風ニセ京都弁で通した。「走らな間に合わんよぉ」「でももう、足痛いわぁ」。エセ京都弁は得意です。