狂人の太鼓

狂人の太鼓 みてこれ!みてこれ!素敵!リンド・ウォードによる、120点の木版画で綴る寓話。長編絵本というか文字の無い小説というか、どっちでもいいけれど、紙質といい構成といい、文句なしに魅力的な一冊。
 奴隷商人だった父の持ち帰った太鼓。父の教えを守って本に埋もれて知識の吸収に明け暮れる主人公を、次々と災難が襲う。まがまがしい絵とシュールな展開にもう、もう、ハートを打ち抜かれ。エドワード・ゴーリーなんかにも通じるような魅力がある。加えて、全ページ見開きに片側に版画、もう一方は白紙のままという構成の、白紙のその余白が非常にきいていた。含みがあるといういか、一枚一枚につくストーリーを余白が見事に語っている感じ。
ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで不幸な子供 ゴーリーではこのへんが一番好き。ナンセンスのさじ加減が絶妙。