メルヘンの深層心理を分解する
中学生になるまでテレビはNHK!低俗な番組は害悪!という環境で本に埋もれて育った夢見る少女だった訳ですが、我が家には岩波の完訳グリム童話全集もあり、河合隼雄あたりのメルヘンの深層に関するユング本なんかも豊富に取り揃えてあったので、今でもメルヘン世界には非常に親しみを覚え、多大なる愛着を感じます。ドレスを着て暮らす夢が叶わないので、レースまみれのフリフリネグリジェを買ってもらって浮かれていました。お姫様になるのが夢だったメンタリティは今でも大して変わっていません。
以前「本当は恐い童話」「大人のための童話」みたいなブームがあったけども、これは何かこう、残酷部分ばかりをクローズアップしていて返ってバランスを欠いていたような気がする。これはたぶんディズニーはじめ度重なる童話の改悪の功罪に対する反動なんだろうけども。
そもそも残酷さなんていうのは道徳まみれになった目で見て後からついてくる判断でしかないので、子供は大人が心配するほど言葉による残酷描写に敏感じゃないように思う。残虐だ残酷だと取り上げて並べてみたところで、全てはイメージでしかない。魔女とか悪魔とか死神とか人喰い鬼とか、とにかくわくわくするものばかり。
何だかなあ思いつつ、グリム全集の中で一番え?というインパクトがあったのは、『子供たちが屠殺ごっこをした話』とかそういう題の2ページ程度のお話だったと記憶しています。無邪気でものすごい話だった気がします。
「大人のためのグリム童話」で、シンデレラの継母が最後にどうなったかを読んでディズニーに毒された童話感に気がつくのも楽しいですが、メルヘンを分解して探ってみるのも楽しいです。なんだ、結局ブラザーズ・グリムに腹が立ったというだけの話。好きな絵本にいたずら書きで髭とか書かれたような。で、それを見てぷんぷんしている横で、あひゃひゃひゃとかってふざけた笑い方をされているような。
アンデルセン童話の深層―作品と生いたちの分析
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加えて、鈴木晶の『メルヘンの深層』という著書はネットで無料で読めます。ここ