石田徹也

mxoxnxixcxa2006-06-07

 古都に身を置く私はどうしても行けないのですが、これは絵に興味がない人、絵はちょっとわかんないやという人もぜひ私の代わりに行ってみたらいいなというのが、石田徹也追悼展です。6月5日〜15日まで、銀座の3ギャラリーにて開催中。
 この人はムサビ在学中にデビューして以来、10年にわたって絵を描き続け、180点の作品を残して昨年の5月に31歳で他界してしまった人です。
 作品は、不安や閉塞感や孤独といった感情を自分に似せた登場人物たちにかぶせて、どこかユーモラスで不条理で空虚な世界を描いたものばかりで、独特の世界観と、作りこんだ状況設定でありながら徹底して物語性を否定する、存在の希薄さがなんとも言えない魅力を持っていると思う。どこまでも空しくて、悲しいくらいに不毛だ。
 私はその昔、何を描いても誰かの借り物なのではないか、というブラックホールに出会ってアイデンティティ・クライシスにはまり込んで以来、絵という絵は全く描きませんが、この人のように自分だけの世界を見つけることができ、なおかつそれを絵によって視覚化でき、描いたものが個人的なものという枠を超えて他者の感傷に触れてくるというものを生み出せる人を、心底うらやましく思う。この人にとって、描くことは楽しいことだっただろうか。苦しいから描いていたんだろうか。描くからこそ苦しんだのだろうか。この人の絵は大きなものが多いそうですが、その前に立って眺めてみたかった。東京はいいよね情報と文化の海だよね。
僕が世の中を見回すとき頼りにする感覚は、人や社会の痛み、苦しみ、不安感、孤独などで、そういったものを自画像の中で消化し、独自の絵画を見せたい」 石田徹也

石田徹也追悼展 
場所等はリンク先の各ギャラリーのサイトで。上2つでは作品をいくつか見ることができます。

ガーディアン・ガーデン 「漂う人」 年6月5日(月)〜6月15日(木) 日曜休館 12:00〜19:00 入場無料
ギャラリーイセヨシ 「恐怖その秘められた暗号」6月1日(木)〜6月13日(水) 日・水・祝日休館  12:00〜19:00
Gallery Q 6月5日(月)〜6月10日(土) 12:00〜19:00(最終日17:00まで)

石田徹也遺作集

石田徹也遺作集