先日、変人と出かける

mxoxnxixcxa2006-08-29

 プライドが高い人には面倒くさい変人が多くて、で、まあ趣味が合わないわけでもないという人。得意勇んでどこやらへ連れて行ってやろうという暖かいお言葉。自分独りでは行くことも無い県だし、ちょっと楽しみにしていたんである。
 まずは到着駅からして間違っていて、それが判明するまで、「あそこの案内所できいてはどうか」という提案を無視し、本屋へ行って地図を広げて読み出す始末。このあたりで、あ、これはおかしいなとは思ったんだけれど、変人は20分ほど地図を吟味して1冊購入。某市全域地図を広げて、うんうん言って目的地を探している。私はイラついたり腹が立つと喋る気をなくすので、だまーって観察に徹しましたよ。お世話になっている人物でなかったら、この時点で確実に、「勝手にすれば?」と言って帰ってる。
 何故案内所をそれほど嫌がるのだと問い詰めたところ、「ああいうところはね、“ああ、それだったらあそこに書いてあるのでそれを見てください”など言ってすげなくされることもあるんだよ」と。それって、てめえの脳内で決めたことでしょ?そんな理由で本屋かよと、変人に心底あきれ果てる。その前に、てめえ、以前いったことあるって言ったでしょうが。
 いくら地図を見てもわからぬ変人は、そうだタウンページだと言い出し、変人なので当然携帯電話などは持っておらず、あの黄色い分厚い書物をめくる変人を腸の煮えくり返る思いで眺める。でも変人は変人なので、タウンページの調べ方もわからぬ様子なので、その目の前で、ケータイで某所の℡番を10秒で割り出して見せた。ありがとうの言葉も無く、私のケータイ使えよという申し出も無視して変人は公衆電話で場所を聞き、駅が一つ違うのだということを、1時間かかってようやく知った次第。
 で、到着駅では道のりもろくすっぽ知らない風なのに、いかにも知ってるように振る舞い道に迷い、某所は○○という人物が大量に寄贈している故に結構いいモノを持っているハズだという狙いをはずれて表に出してあるのは超しょぼく、しかも大幅入れ替え中。本人も「しょっぼー。これはしまったことだな…」と思っているくせに、余裕ぶっこいてロビーのソファーで、持参の英語の分厚い本を読みふけり、いかにも「緑に囲まれた、このような涼しいところ。なかなか良いなぁ」と強引にでも思い込もうとしている感じがもう、超猛烈にクソ腹が立つことこの上なく、しかしてこの方には普段より格別のご配慮を頂き、お世話になっているという立場から、私は沸き上がる憤怒の念を必死で沈めようとの思いと、けれども今自分は非常に疲弊しているし憤っているということだけは伝えておきたく思ったので、ロビーのソファー、わざわざ変人から離れたところへ腰掛けて30分ほど俯いて眠ってやりました。
 帰る道すがら、変人に言ってやりました。やんわりと明るい軽やかな口調で、「○○さん、今日は最低だったよ。本当に今日は最低だったね」と。以降その日はずっと、変人はいじけっぱなし。ここでいじけるのは私の役割なのに。大体あなたは私の年齢の2倍じゃないですかね?
 常からこの変人の偏屈っぷりは突き抜けていて、あまりに頑固なうんちく公爵なので、時々非常に愛しにくいなと思ってしまう。しかし多大なるご厚情を賜り、頭があがらないという事実もあるので、私は知人とこっそり彼を「へんくつ王」と名づけ愛でることで、へんくつ王にいちいち憤る自分の方がおかしく、悪いのだと思うようにしているんである。変人でも可愛いところもあるし、様々な教えを授けていただいてもいるんだけれど、如何せん変人なんだった。誰に言ってもしょうがない愚痴をぶちまけましたありがとう