歌舞伎座は遠く

 私は4月にこの風変わりな気質の古都に移住して以来、なんだか映画館にさえ行っていないことに気づいて驚いた。何だこの干上がった毎日。私は人生の楽しみを取りこぼしているに決まってる。
 八月の納涼も始まり、歌舞伎座HPを眺めて臍を噛む。いいじゃないか素敵じゃない楽しそうだよね。チケット発売の段階で、1ヵ月先のスケジュールをどうやって組めというのだ。日帰りできる距離じゃねえんだよう。千秋楽だったら、なんとかお江戸に飛び込んで幕見とか出来そうな気もするんですけども。
 特に東京最高!とは思っていないけれどもしかし、歌舞伎座があるというだけで、お江戸には他にはない絶対的な力がありますな。なんだよう南座。AMATERASUなんて場合じゃないだろう?顔見世まで京都で歌舞伎はお預け。銀座…遠いわ。東京人どもは自分らの恵まれた環境のありがたさををひしひしと感じ入って暮らすがいいよ。離れてはじめて分かるんだから!
 納涼は25か26日が無理ならしょうがないんですけども、9月は何が何でも参りますわ。だって籠釣瓶!福助の八ツ橋って!ただでさえ相当長く福様を拝見していないというのに、こいつを見逃したら私はわが身を恨んで、胃潰瘍とかになってしまうと思う。しかも心底驚いたのが、吉右衛門幸四郎が同じ月に同じ舞台に同じ演目で共演だなんてことが起こるとは、本当に露とも思いもしなかったですよ。大丈夫なんですか
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