おばちゃんの残り物には福があり

mxoxnxixcxa2006-01-28

 寒がりやにはきっと、万栄の古都という名の盆地の過激に寒い冬は耐えられないと思い、今月いっぱいは財布の紐を緩めたって罰は当たらぬはずと、百貨店へダウンコートを調達に。
 先日人様のダウンコートを羽織ってみたおり、その余りの軽さ暖かさにいたく感激したどころかお気に入りの黒コートが重たい割には差ほど暖かくもなく、見た目だけのかっこつけヤロウだということに気がついてしまったのは、不幸なことでした。
 そこであちこち歩き回るもエレガントかつスタイリッシュなイメージ通りのものがない。むしろ売り場は春物だらけ。そうして発想の転換を図り、おばちゃんひしめく雑多な叩き売りコートコーナーにそっと近づいて、溢れる防寒着を物色してみようと思ったら、「もにかちゃん、こっちこっち!」という声がした。
 声に導かれるままに手を伸ばせば、おばちゃんに着せておくにはもったいない素敵黒コート。ウエストもシェイプされ、首には死んだ黒ウサギの毛皮がぐるり一周。お値打ち価格で。
 売り場のおばちゃんは非常に優しく、私の本物の母よりも正しいお母さんのような人でした。鏡の前で着てみたいけれども周囲のおばちゃんの勢いに完全に飲まれている私を励まし、「さぁバッグを見ていてあげるから、こっちへいらっしゃい」などおふくろさんのようでした。