素敵な映画でうっとりしたいんだ。しんみりしたいんだ

 時間配分が不味いのか、好きな映画ひとつ見る時間をとれずにいる日々。観に行きたいのは山とあり、まだ観ぬまま公開が終わってしまったために今頃レンタル屋に並んであろう作品だって、山とある。一体なんなのだこの追われ様。次から次へとあれが終わればこれがあり、これが終わればそれが待つといったこの状況。兎に角観たい映画は山とあるのに放置したまま忘れてしまう。寂しいよ。
 しかしそんな日々を送る私の横で、人が借りてきた『ネバーランド』。片っ端から映画を見に行ける身分ではないために本当に観たい物のみに照準を絞る私は、公開中から、当然のようにこの作品は存在を根から無視していた。だって何をどう考えてもつまらなそうなんだもの。
 しかも人は、つまらなそうな映画をわざわざ借りて「ああくだらない。つまらん」と言うのが得意技なんていう困った面を持っているので、この人に付き合ってどれだけクソを観たことか。B級映画の愛らしいくだらなさではなくて、超真剣に作ったがために空回って滑っているような、心底冷えるくだらなさを好むので、つまらぬと分かりきっている映画を渋々観ていると、時に本当に心がすさんでくる。
 何となれば連れだってレンタル屋などに言った暁には、お互い笑顔で相互のチョイスを否定しあい、結局両方借りるという事態。両者ともども映画は好きなんだけれど、ベクトルがいまいちかぶらないために、つまるところ一致すると言えば猟奇映画やサスペンスという、怖い・痛い・グロい系になってしまう。