ウィノナ・ライダー

 『17歳のカルテ』で、ああやっぱりこの人いいよねかわいいね。と、世界中に存在感を示した後に、この「NYの秋」。その後もいくつか出るもまったく振るわず、ラジー賞ノミネート作品も。そして万引き事件。セクシー過ぎる衣装で公判に出向き、陪審員の男性の目を引こうとしてる!ヤラしい!とかなんとか叩かれて、最近になっていくつか出してもらうものの、ことごとくコケている。
 私は数年前、アカデミー賞の模様をテレビで見た際、この人に驚いたことがある。赤絨毯の上で「私こういうお祭り騒ぎは好きじゃないのよね。でも今日はビョークが来るから来たの。彼女が好き。私プレゼンターなの。だから来たわ」とかなんとか言うその様子が、清楚とか純粋とかそういう従来のイメージを大きく超越しており、なんかもう顔をゆがめて肩を盛んにすくめたりして、飾らない気取らない、というレベルじゃなく、単なるBitchが下品に喋っているかのようだった。
 これは役者だと思った。この意地悪そうな女の人が、映画の中では妖精かと思うくらいにかわいくなれるのだ。女優はすごい。いつまでたっても「清純な少女」。当たり役はこんな役ばっかり。『17歳のカルテ』なんて、28歳で17歳役。『オータム・イン・ニューヨーク』だって、29で二十歳そこそこの純情な女の子役。本人もさすがに限界を感じていたんじゃなかろうか。