両・サザーランド
世間では「サザーランド」といえば、キーファー・サザーランドを指すのかと、少ししょんぼりする。
ドニーパパ:「有名な父親を持つというのは苦しいものだ。私の存在は彼が自分がオリジナルな存在であるという感覚をもつことを妨げている。彼は外見も私に似てるしね。ただ背が低いだけで」
確かにパパに似てて、だいぶ背が低い。でもでもそれ息子のハリウッドでの存在価値を、根底から問う言葉になってるよパパ。しかも息子は息子で、兄弟に電話かけたらパパと間違われたって。声までも。
その後、息子サザーランドは「24」でやっと大当たりを出した。良かった本当に。監督作「気まぐれな狂気」も見た。ヴィンセント・ギャロが一番ブリリアントではあったけれども、キーファーのチンピラ具合は似合っていた。まつげから眉毛、髭にいたるまで全身全ての体毛がブロンドなんてすごいや。「三銃士」の曇りのない金色の髭には、眩しくて目がくらんだ。
しかしそんなキーファーも、高貴なドナ様と並ぶと、同じ悪党面でもどこかチンピラ風。チンピラ。チンピラの語源を知らない。193cmのひょろっとした容貌のパパと、公称178cmの、頬がふくふくとしてずんぐりな息子。あのギョロ目もあれ程のアクの強さも息子にはない。
だってキーファーで「カサノヴァ」は想像できない。あれはドナルド・サザーランドだから悪趣味で怪奇趣味な作品におさまることが可能だったのだ。あのイっちゃった目、腰の動き、まさに唯一無二の怪演。呆気にとられた。
同じ職業を選ぶながら、若干かぶりつつもそれぞれの個性を確立して成功するってなかなか難しいことだろう。
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