鬼束さん…誰！

　きっと世間的には今更な話題なのかもしれませんが、私は仰天しました。
　なにやらここしばらく、暴行を受けるとか珍奇な行動をとっているなど、ちらっと音楽ニュースのサイトなどで目にしていましたが、すごい…。一体どれ程の試練がこの腐敗した世界でGod’s　Childに降り注いできたというのだ。
　仮面みたいなメイクと装飾過多な衣装と、周囲を威嚇するみたいな態度。なんという勇姿だこの完全武装、この鎧。
　こんな不自然な姿が、「これが本来ありのままの本当の自分」だというならば、なんていうかもう、人間の何か暗い穴を覗いた気分。鬼束さんの達した境地は、「これがありのままの私だと思って欲しいの」、という地点。強くなって！と思いますが、見た目を強そうにこしらえても、うーん。強くならなきゃって思った結果、こんなになっちゃったんだろうか。もう自分でもどうしようもないんだろうな周囲もどうしようもないのだろうけれど。
　鬼束ちひろの業界歴は10年くらい？なんでしょうか、ありとあらゆるものが寄ってきては去っていく業界で、誰も守ってくれる人が居なかったんだろうか。守ってくれる人も遠ざけてきた結果なんだろうか。
　変わってるって思われたい揺るがないって思われたい、個性的って思われたい強いって思われたい。だって私は強くて揺るがないの。そんな切実な思いが、三十路のアーティストから滲んでいることが悲しい。
　このハイテンションいつまでもつのだ鬼束さん。あまりに別人過ぎて、なんていうかもう、痛ましさを超えてもう、面白い。どうか自分を大切に。