妹の部屋を空っぽにした。レンタカーで走り回って、捨てるかどうかを迷うものは全て他の兄弟のうちに運びこんだ。

人にまず話すわけには行かない喪失を共有している人間がいるってだけで、こんなに救いがあるとは知らなかった。

人生で一番辛いね、これ以上はないねーなんて、うっすら笑いながら言うのを、そうだよねーなんて、うっすら笑いながら答える。私は喜怒哀楽が根こそぎごそっと変わってしまった。たぶん兄弟もそうだ。

初めて他の兄弟の住みかにいって、弟のベッドに寝転がっている。妹以外の兄弟のうちに泊めていただくなんて、今まででは考えもしなかったし、泊めてくれという発想もなかった。