ロストジェネレーション?それ美味しいの?

mxoxnxixcxa2007-01-08

 私の孤独な京都ライフにおいて、だいぶ可愛がって頂き大変お世話になっているおねいさんがいて、お宅へご挨拶に伺う。と、他県の某医科大で教授兼小児科医をしていらっしゃると話には聞いていたご主人がいらっしゃり、5時間ほど3人でお喋りを楽しんだんである。その前にはおねいさんと3時間強、食事しながら散々喋ったあとなんだけどもね!
 そのお医者のご主人は優しそうな眼をした穏やかで明るい方で、もう、どうして知的で穏やかな人はこんなにも素敵なのだろう。オレ様病にかからなかった高学歴な方は、相手が、つまりは私がどんなにバカでも決して見下したりバカにしないわけで、まずは同じ人間として接してくださるというか。本当に思うんだけども、もうそれははっきりと2タイプに分かれるように思われるんである。特にジャパンの頂点に君臨してゆく旧帝大出身者、そうして更には“先生”と呼ばれる人種の方々は。
 私は自分が賢くないという自覚があるゆえに、賢い上に嫌味のない人は問答無用に素敵に見えてしまうんだけども、ここぞとばかりにいろいろな話を聞かせていただいたんだった。小児病棟のことや生命倫理について、学生について、渋谷区の歯医者一家に起こったことや、加害者の歯学部3浪していた次男のこと、大学側の受験生の取捨選択についてや、恋愛や結婚についてや、学会や難病や奇病の治療のことなんかを。知らない世界の話を聞くのは本当に楽しい。
「辞めるつもりはあるんですけど、他に気分転換の方法が見当たらなくて」という私に、「そりゃタバコは止めた方が良いですよ」といいながら、お医者であるご当人は大量に吸っていんだった。同級生が各地で院長だとか、そういう世界が世の中にはあるのですか。
 おねいさんもご主人も、我が両親も所謂団塊の世代。医学部であったご主人は当時、火炎瓶を投げていたそう。理工学部だった父は、学園闘争をしている人たちを追い出す運動をしていたという、もうなにやら良く分からない時代の話。そういった世代であるおねいさんの息子さんも私も、団塊ジュニア失われた10年世代。近頃ではマスコミにロストジェネレーションなどいう一見カッコイイ響きだが妙に酷い名前をつけてもらった、要するに貧乏くじ世代。何かこう、ハリウッド映画にでもありそうなネーミングで名前をかっこよくしておけば、オブラートをかぶせたような感じに。
 バブルも知らないのに就職氷河期に踏みつけられた世代。団塊の世代年功序列を守るために、社会が門戸を閉ざした世代。で、ワーキングプアやらニートやらを大量生産した世代。仕方なく非正規雇用者として働くしかなかった人にさえ、正社員へのチャンスを与えられない世代。格差社会の入り口に立たされた世代。25〜35で契約で働いてる人がどんだけ多いかと。知人にも居るし、まるきり働かないで煮詰まってしまったニートも、鬱をこじらせてこもっている人も知ってる。
 私は何が言いたかったんだっけ。言いたいことなんか特にないんだけれど。ひとついえるのは、学歴とスキルがない人間は時代から取りこぼされていくんだなということ。世代は関係なく。そんなことを思った。私も美大なんか行ってないで、死ぬ気で医学の道を志していたら…と空しいことを考えて瞬時にあほらしくなり止めた。
 もう一ついえることがあるとしたら、自身らは必死こいて勉強して上を目指した団塊の世代が、せめて自分の子供たちにはと重要視した“自己実現”の幻想と、“子供の意思の尊重”という名の責任放棄は、重い罪だったのではないのか。ある医者の息子を知ってる。20代を好きなことに費やして音楽の道を志したけれど、今手元に残ったのはタトゥと顔面のボディピアスの跡と鬱と、夢破れたというよりは自身の才能に対する失望感や挫折感のみっていう。自分の器に幻想を抱くのは恐い。だから何が書きたくて書き出したんだか忘れちゃったよ!