歌舞伎が遠い

 けれどもなんだ、この日々の追われようはなんですかこれは。私は私は、今月東京に行きたかったのだ。新橋演舞場に。何が何でも行きたかった行くつもりだった行くものだと思っていた。先の予定が見えぬから、まあ当日でもどうにかなるわとチケットも押さえず、でも行くものだと思っていたらこの土日もだめで、次の土日もダメだなぁと思っていたら、木曜日で終わりですかそうですか。福助道成寺、木曜までですか。ふーんあっそ。そんなこと気にしないと言い聞かせながら、歯を食いしばってぶるぶる震えた。
 でも待って。京都には南座という箱があるよ。歌舞伎座がもっとつんのめったような、圧縮率の高い劇場が。そこには歌舞伎がくるのじゃないかしら。もうこのさい誰でもいい。歌舞伎が観たいの絵空事を眺めて浮世の憂さを忘れたいの。と思ったら、今年春以降の南座の演目で歌舞伎っぽいのを探したら、「AMATERASU」アマテラス。
 あまてらすおおみかみ?天照大神のこと?白塗りの玉三郎 with 鼓動。太陽神AMATERASU、へぇ…。まだ少し私には早いみたい。7月の松竹座でいいや。東京はいいですね何でもあって。文化の坩堝ですね。江戸っ子はその溢れる恵みを体中で浴びたらいいよね。