加齢が隊列組んで行進してくる

mxoxnxixcxa2006-01-11

 たとえ幾つの乙女にとっても年齢トークは禁忌といえば、日常生活でそうそう話題にのぼることはなく、わざわざ訊かれたり答えたりということも結構少ない。だから意外と免疫が無いのかも。
「ねえ、もにちゃんて●才だっけ」と無邪気に言われ、それが1つでも上だと「違うでしょ!」と烈火のごとく激しい反応をしてしまう自分に気がついた。正月には妹との会話中、どうしてか妹が私を25歳という設定で居るらしいと分かっても、訂正なんてしなかったくせに。
 けれど更に乙女心は複雑であるということも分かってきた。日々それとなく、加齢に対する不安と恐怖なんかと同居している女子であっても、実年齢よりも若く見られると、「おまえは中身の伴わない女子だよ。はは。この空っぽ頭」。とか言われているかのような、難しい気分になる。
 昨年何かの話題で年齢話になったおり、「あ、私●才ですのよ」と言ったら、3つ4つ年上の女子に「えー!23か4だと思ってた。意外」と驚かれ、こっちが驚いた。なんだか、「おまえは年の割にはしっかりしてない女だよ」という感じがして、少しくしんみりした気分。なんだかちっとも嬉しくないのだった。年より上に見られるよりは、ずっとはるかにマシなんだけども。
 だからどうしてこんなに乙女心は複雑なのかしらと、しばし考えてみることにした。若く見られるといっても、多分まだ若者の括り。それで言うのもなんなのだけれど、年齢よりも下に見られたうえに実年齢に驚かれたりすると、なんだ、あんたその年にしては幼いよね、とかいうものが潜んでいそう。多分それは当たっているので、どうにも痛いとこを突かれたというか、そんな気分。言ってみりゃ企業づとめでもないし、エルメスのスカーフを優雅に巻きつけるような巻き毛のお姉様でもない。それに20代も後半に入れば、同い年の生活疲れした主婦やら所帯じみたママやらは、それとなく多いはず。私の周囲にいないだけなのだった。
 素敵クールな30代に憧れがあるのに、それでも加齢が恐いのは、なんだ、年を重ねるごとに何かこう、大事な何かを取りこぼしていっているような気がして焦るのだ。なんだろう可能性とか?でもそれって一体なんの可能性?まとめて幻想ということくらい分かってはいるんだけれど、何か首の辺りをこう、ぎゅうとされる感じ。何かどでかい何かが、後ろからざん、ざん、ざん、ざんとリズミカルに攻めてくる。飲まれる!飲み込まれる!
 年とともに得るものも多々ある。物事を多面的に見ることも出来るようになってきたし、許せないものも減ってきた。しかしながら、なんとも意味もないまま年齢だけを重ねて、むだに年だけ取っていっているような気がして焦るよ困ったな。こんなんじゃダメ!もっと、もっと何かあるはず!みたいな幻想に踊らされる。ジルバのステップで加齢がやって来る。
 この前、なんと何となく入浴前に臀部の肉をつかんでみましたよ。え、あれ?こんなに柔らかで良いんだっけ…そっと鏡に背を向けて立ち、顔だけ振り向いてチェックした。なんだこれ…ゆるい…。
 ああどうしよう。別段太っているわけでもないと思うんだけど、どうにも全身が緩んできた。恐い恐い恐い恐い恐いよー。どどどどうしようお尻が垂れてきた!と訴えると、運動不足でしょうがと至極真っ当な言葉で突っ込まれた。口の横にくっきり線が出来るのは、あと何年だろうか。うわぁ…本気でひく。考えたくない生々しくてぼんやりする。