いじめられっこ逃げ込む

 昨夜テレビでボーイズラブにはまる乙女ロード女子を見た。私自身は少女趣味をこよなく愛しながら漫画に触れることなく成人してしまったために、同人誌というとちょっと隠微な未知の領域。美少年同士が禁忌の愛にはまり込み、背徳の性向に耽る。二次元萌えワールド。こういう性癖ともいうような趣味趣向を顔を晒して告白できるのは凄い。痛い。乙女のドリーミンとはいえ、ニート系の女子の現実逃避っぷりはまずい気がした。痛々しくて、なんともいえぬ気分。なんか切ないなぁ。この娘を見つめる片親の父の姿も悲しかった。
 この女子は10代の頃、異性に容姿のことなどでからかわれ、いじめられたことから立ち直れていない。10代なんて誰もが神経過敏になって自分に自信がもてない訳で、多少ちやほやされる子だって、自信のなさと紙一重。これらを一番手っ取り早く傷つけるには、「暗い、ダサい、キモい」の3大爆弾を、異性がせせら笑いながら本人にぶつければ、もうその後の人生においてもアイデンティティ形成においても壊滅的なダメージを与えるのだと思う。これはたぶん男女に共通しているんじゃなかろうか。俺はどうせモテねえよ…とくすぶる男子や、もう一生男子なんていらんわBL系のオトコノコで十分と割り切る女子とか。
 私も小学校の頃、転校生で帰国子女だったために日本の学校になじむのに超苦労したのだった。給食は何かバケツみたいなのに入ってくるし、べちゃべちゃエサみたいで食べたくないよーと泣いて訴えるも聞き届けられず。異物排除的ないじわるをされ、ここはもう頭を使って切り抜けようと処世術を早めに身に着け強引に強くなることで対処。それでもすごくきつかったんだな、いわれのない攻撃を受けるのは。ナニ日本語で喋ってんのなんて言われてもって感じ。明確なキャラを作って演じきったけども、以後それを引きずり続けて思春期にはギャルを演じて大いに苦しんだり。
 これ頂戴よと高圧的に言われて黙り込むような大人しさだったために、変身にはかなりの労力を注ぎましたよ。でもこれはいじめの中では可愛らしく幸福な部類だったんだと思うことにする。外交的になることで身を守るのもいれば、内向世界に埋没する人もいる。
 でも待って。なにもやおい女子がみんな傷ついた子猫ちゃんな訳じゃないような。単に陽気で鬼畜なおねいさん達という線もありそうな。