福助不足

 心がくさるので録画していた諸々の中から、福様の「関の扉」を探し出す。最後に福助を見たのは6月で遥か昔のような気がする。歌舞伎に行きたいのだひとときの夢の世界に浸って遣る瀬無い浮世の痛みを忘れたいのだ。おんおん泣きながら墨染を見つめても気分は晴れないし、おなか痛い。
 先週はNHK教育で「封印切」がやっていて、どうして数あるものの中からわざわざ私が観に行ったものを放送するのだと文句を垂れながら観た。だいたい先月くらいに新口村をやったじゃないさ。私は和事が心に染みるにはまだ青いようなので、演者が泣きっぱなしの演目はイヤだな心中なんて建設的じゃないわとか青臭く思っていたところ、あれ?案外面白くて驚いたのだった。しかも染五郎ってパパと違ってこういうなよった二枚目が意外といけるんだなあとか考えた。
 12月歌舞伎座福助の重の井。わああ成駒屋!とはしゃぐ。芝翫で記憶に新しいけれど、いつ観たんだったか忘れた。その時は橋之助女形で小さく笑ってしまったのだった。そしておわさも。しかし兄弟共演。それ以外は勘三郎玉三郎船弁慶くらいしか観たいものはないかも。しかも1月は吉右衛門との袖萩、藤十郎襲名披露で一本立ち舞踊。ああ目白押し。諭吉さん、こっち来て。