『母の発達』

母の発達 くさくさすると、たまにこの小説を読む。笙野頼子の作品の中では特に好きで、母親を徹底して化け物に描きながら、その娘と言う立場に甘んじて、むしろ都合よく理由付けしてしがみついている娘の姿を切るとることも忘れていない。
 最後の方に出てくるヤツノの母作文は、母娘の不毛な姿や、憎みながら寄り添わずにいられないその姿を、抜群のユーモアと皮肉であぶり出し、泣けてくる。
「なあお母さん、私はもう一生、母に生き母に死んだんやで。そやからもう、孫の顔が見たいとか言わんといて。なあお母さん」。ラストの言葉は秀逸だと思う。笑いながら泣けて、すっきり爽快な気分になれる「爆笑お母さんホラー」
 なんかうちって一卵性母娘?なんて思う人も思わぬ人も必読の一冊。これでカタルシスを得ようよ。母か神かというようなママ様をいじくりまわして遊び倒そう。