メルヘンの男と同乗

 ここにはあまり来ないであろうハイドファンに向かって、ちょっと自慢してみようと思う。
 ずいぶん前、完全オフモードのハイドと同じエレベーターに乗ったことがある。そのメルヘン星人はぎらぎらするスターオーラを発してはおらず、そこになんとなくいた。なんか普通に立ち姿が女の子だったため、チラッと振り返ったその顔を見て、あれ、男?みたいな。「あ、ハイド」と思いつつ、気づかぬ連れを前にクールを装う私。見た瞬間の感想は「ああ、ハイドは、存在します」。
 163センチの私がヒールブーツをはき、見下ろしたハイドは多分160くらい。美形だった。まず目がでかかった。ニット帽をかぶったハイドは小男というより妖精。存在がメルヘン。身長、顔、手、すべてのパーツが小作りで、単なるちびな男というより、ジャンルはハイドという生き物、みたいな。エレベーター内で携帯を鳴らすハイド。「はい」とか言って出るハイド。連れと会話しながら耳がでかくなる私。「え今?エレベーターの中です。はい?いや、その辺の。ふふ」なんてとぼけたことを抜かすハイド。何やってんだよハイドと思いつつ、私はここでエレベーターを降りた。クールに。