'Cause this is thriller

 近頃世界中で話題をさらう、マイケル・ジャクソンさん。その顔を見ていると、「スターの孤独」などというありふれた言葉の切実さを生々しく感じてしまう。あの顔を見る限り、もはやマイケルさんは健全な美的感覚を完全に失している模様。いい年した大人の男としての精神的均衡も。
 あの不気味な自宅兼遊園地。マイケルさんの存在そのものに、人間の持つどうしようもない悲しさを見る。いったい何が彼の顔をここまでさせたのだろうか。そんな存在の根本的な何かに向かって疑問を投げかけるマイケルさんの顔を見ていると悲しくなる。
 私は幼い時分、家族とともにキャプテンEOを幾度となく見た。飛び出す眼鏡で見るマイケルさんは、たしか指からビームとか出していた。そして今。お友達の元天才子役。13歳でアル中になったマコーレ・カルキン。すでに結婚も離婚も、逮捕までも経験し、きっとジャパンに住むありふれた一般人なんかが想像も出来ない、ビッグでゴージャスな世界の裏側まで体験しつくしてしまったのだろう。
 強いスポットライトって、それを浴びる年齢が幼ければ幼いほど、人格や人生まで狂わせてしまうほど強烈なんだろう。ショウビジネスって恐い。しかもスター1人ぽしゃっても、次のスターなんていくらでもいるこの恐さ。ウィノナ・ライダーをごらんよと誰かが囁きます。バカみたいな事件起こして、今どこいるのだ。私は市井の小市民でよかった。世界を転がすワールドワイドなマイケルさん報道を見ていると、最近ゲッツを見ないな、なんてことは、どうでもよすぎるのだった。