5年目の9.11

mxoxnxixcxa2006-09-11

 あの日ちょうど10時のNHKのニュースをつけると、アナウンサーが変なことを言っていたんだった。事故か何か分かりませんと言うところへ、「ああ!もう一機!もう一機やってきました!」という声とともに、生中継のその画面で2機目がつっこんで火をあげたのをみて、…ナニコレ?と呆気にとられてフリーズしているうちに、その晩メディアと一緒に私の頭も混乱していったんだった。
 その晩遅くに帰ってきた人と、一緒に4時くらいまでテレビを眺めて、あんまり嘘みたいなスペクタクルなので映画みたいだねと言っていたんだった。煙の出るビルから人が次々飛び降りて、ビルが崩れて、泣き叫ぶ人が沢山映って、一体どうしてこんなことになるんだろうと考えていた。
 ショックだったのは、パレスチナの街がお祭り騒ぎで、人々が嬉しそうに通りで踊っている映像だった。私は何となく、世界はもっと幸せなところだと思っていて、アメリカという国がどうしてこんなにも憎まれるのかを考えたこともなかった。どうしてビンラディンイスラムの人たちに支持されるのか、それ以前に、どうしてビンラディンが誕生したのかとか、そういうことを。
 以後、9.11関連本が読みきれないほど出て、まず足固めにハンチントンからはじめて、チョムスキーイスラム史もろもろもろを読み漁っているうちに、米国は星条旗まみれになって愛国心に任せて殴りこみ。無関係そうなところへも強引に殴りこんでフセインを生け捕り。国民がうっすら眼を覚ましても、都合よくビンラディンの声明や、テロの脅威が襲い掛かる超大国ビンラディンはmade in Hollywoodだったりして。なんていう冗談も3%くらいはどこかで、…まさかね…みたいな感じ。軍産複合体の闇は深いよね…。
 比べる話ではないけれど、9.11の犠牲者の数は約3,000人。イラクの民間人の犠牲者は、米国側は数えていないと未発表だけど10万人以上は居るかということ。さらに米兵の死者は、今年の6月の時点で2,500人。心を病む兵士が続出していると何かでみた。言葉がないです。たいぶ前に新聞か何かで この写真 を見たときは何か泣けてきた。両親を亡くしたイラクの幼女を、米国の軍医が座り込んで悲しげというか苦しげというか、遣る瀬無い顔で抱いているもの。「正義」という言葉の危なっかしさについて、こんなに考えさせることはなかった。良い悪いは置いても、知識層を積極的に育成していたイラクが、今はもう復興の兆しも見えぬ壊滅状態。戦争ですらなかったこの破壊行為で、家を失ったり家族を失ったりした人たちに対して、一体誰が償うんだろう。本当に、どうしてこんなことになるんだろう。今でも、あの飛行機が貿易センタービルに突っ込んでいく姿を見ると、なんだか泣きたくなる様な気分になる。
 5年て、あっという間ですな。ここまでの世界の混乱を、『文明の衝突』の著者は予見していたんでしょうかね。このへんの話は田中宇がクソ面白いけれど、面白すぎて全て真に受けるのは危ないなというか、軍事企画書説ですね。
ロード・オブ・ウォー [DVD] 最近立て続けに9.11の映画が2本。『ユナイテッド93』と『ワールド・トレードセンター』…観る気しねえなあという感じ。軍産複合体については、この映画がクソ面白かったです。内容と感想はこの日