“同行者が”辛口だった日①

mxoxnxixcxa2006-06-18

 昨日、京都みやこめっせというところで行われた、ファッションカンタータというショウに行きました。今年で14回目という、そこそこ回数を重ねているイベントだそうで、毎年なかなか抽選に当たらないというものらしいのですが、幸運にも私はお誘いを受けて、この雅な催し物見物に行くことが出来ました。
 一言で言うと、すごかった。いろんな意味で面白かった。私と同行者は何度も笑いそうになるのをこらえましたが、2回ほど失敗してしまいました。
 京都商工会議所が主催ということで、へえ…と思ってはいたんだけれど、まずシャネルのコレクションが十数点くらい、キャットウォークのモデルを眺めた後、シャネルの偉い人が妙に流暢なニポン語でトーク。京都はようござんすな、日本女性は美しゅうござんすね、着物姿のジャポネーゼはたまりませんなという事をお話しする。
 で、始まった京都コレクション協議会?のドレスコレクション。ぶっ飛んだよ。目を疑った。イタいの。どうしようもなく恥ずかしいの。西洋人の学生が、ニポンをイメージしてキモノやハッピ、ハカマなどから着想を得てデザインしてしまった間違った日本みたいな。恐いのは、これをデザインしたのが日本人ということ。紫という日本の高貴な色をベースにしたコレクションは、明らかにシャネルとは格下のモデルたちが、帯もどきを腰に巻きつけたりしながら、キメキメでポーズをキメる。
 でも、ここまではまだあまりのことに呆気に取られていたので、にやにやだけで済んだのに、次は駄目どした。次なるコレクションは『水引』。熨斗袋。あの、のしぶくろに付いている、紙の細い細い紐、赤とか白とかのあの紐が、腰といい頭といい背中といい至るところを飾りたてており、白を貴重にしたドレスたちは、確かにのしぶくろやった。モデルたちは笑顔を振りまき、熨斗袋でキメてはった。もう駄目やった。私と同行者は、申し訳ないけれど思わず声を出してわろてしまいました。
 これはなんどすの?どこぞの服飾専門学校の卒業制作?あ、京都は美大が3つもあるし、そこの学生さんの作品?私は静かに考えました。演出がクサすぎる。これは一体、何に迎合しているのか。京都は一体何に媚ているのだ。自ら進んで不思議オリエンタルジャポンになってどうするのだ。
 文化の安売りをするんじゃないわと呆れ果てたところで、最後は、現職キモノデザイン作家のKIMONOコレクション。もうもう、よくわかんないや。音楽もかなり謎で、神秘をテーマにしたのか、「神様は開いた手の平の中〜♪」というような歌の流れる中で、静々と歩くモデルが身を包む着物は、正直あまり品があるものではなかった気がする。
 奇抜で大胆なのはいいけれど、どこの素人が着ることが出来ようか。クラブのママならきっと着こなせると思う。祇園には数限りない夜の飲食店がひしめいているし、いくら着物産業が壊滅状態であろうとも、祇園がある限り消え果ることはないよね。そんなことを思った。バティックの羽織というかなり安易な発想の着物に身を包んだ東幹久は、やはりタイガー・ウッズに似ていた。石原さとみこけしのようで可愛かった。しかし一番着物が似合っていたのが、司会担当のマリエスタという混血女性だったことを考えると、複雑な思い。日本女性の最後の砦を奪われたような。
 イベントが終わって会場を出る道すがら、同行者は呟いた。「今日って、ああ、やはりシャネルはラインが美しいね、洗練されてるねっていう日だったの?」と。
ファッションカンタータ公式 画像を見ると、昨年のほうが面白そうですね