妖怪ママゴン

 しかしまあ疲れる。いちいち言われることを気にしないように、笑顔でさらっと交わすようにと心がけているともう、疲れる。反論すればバトルあるのみなんてわかっているから疲れる。悪い人じゃないとわかっているから疲れる。弱さを私にぶつけられたって、微笑んで空中霧散してやる。激突を回避するよう気を使うのに疲れる。でもたぶん、向こうも疲れてる。
 自分の枠でものを見る妖怪。自分で作った「かくあるべき枠」をはみ出すものを認められないなんて、頭がいい人なのにどうしてなんだ困ったな。人間はみな誰かの思うとおりになんて行動しないのだ。
 何処までいっても平行線。なればこちらが引くしかない。あっちの方がエラいんだもの。母子っていうものは何処もこんな感じなのかと思っていたけれど、どうもそうでもないらしい。うちはなんでこうも絡まっているのだ。私が突き放そうとすれば腕を掴む。あんたはまだまだ子供よって。しかし「もういい加減のいい年なんだから。情けない」も口癖。なんだってんだ。生きていくって面倒くさ。