ハヤイ系ツメタイ系と呼ばれていたよ

 その昔、私がアムロに興味のないアムラーっぽかった頃、アムラーというのもマスコミ用語で、本人たちは「あたしアムラーになりたいよ」とか「あいつアムラーじゃん」なんて言葉は使わなかった。むしろアレはアムロが女子高生を真似ているという感じだった気がするけれど、よく覚えていない。
 とにかく私が今よりも更にバカで若くてキュートだった頃に、食べなくてもいい寝なくてもいいスーパーマンになれるというおクスリにはまった男子がいた。友人の友人だった彼は、どんどんその友人とも疎遠になり、彼女の家に転がり込んで、2人して明けても暮れてもシャブをシャブっていたという話。3日間ノンストップでキメて、26時間寝るとか信じられないようなことを聞いた。
 私自身、その友人自体と親しくしていた時期は短かったのだけれど、1ヶ月とかもっと後かに、彼を見かけたとき、まるで廃人みたいなので心底驚いた。恐かった。無精ひげで痩せこけて、小汚い格好で穴みたいな目に二重三重の隈を作って、ボーっと道に座っていた。青白い顔で目だけがギラギラしていた。え、こんな風になっちゃうの?私が微妙に笑って手を振ると、彼もにっこり笑って手を上げた。それだけの話なんだけれど、彼は今何をしているんだろうか。Sと縁を切ったろうか。むしろ生きているんだろうか。
 私の10代はマスコミの作った女子高生ブームなんかに世間様が乗せられて、女子高生はみなブルセラでパンツを売り、オナーヌとかセックスのビデオを撮らせ、処女は10万で売り、3万とか5万とかでウリをしているとさんざん言われていた。歩いていてサラリーマンに「3万?」など訊かれたこともあった。毎日馬鹿馬鹿しかった。
 でももっと馬鹿げてて悲しいのは、そういう子も確かに居たことだ。痩せたくてSに手を出した子の話も耳にした。彼女は当初のダイエットを忘れてはまり込んで引き籠った。抜け出せただろうか。
 今の10代はもっとずっと身近で簡単に手に入ったりすると聞く。やめたらいいよあんなモノ。Sをすると思考が高速回転して天才になれるんだって。いつでも止められるからと言って結局止められないんだって。