カンヌに飛び込む3監督

 今年のカンヌは、コンペ部門に小林政広監督(51)「バッシング」、「ある視点」部門に青山真治監督(40)の「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」、監督週間部門に小栗康平監督(59)の「埋もれ木」の3作とのこと。
 エリ・エリ・レマ・サバクタニって、神よ神よ、私をお見捨てになるのかのラテン語だっけ?ゲッセマネだったかゴルゴダだったか全くもって忘れてしまったが、超有名なフレーズだったのは覚えてる。しかしここが幼児洗礼者の限界です。芥川龍之介の『侏儒の言葉』にも出てきたかな。欧州などキリスト教圏で容易に使っていいのだろうか葬式仏教国の映画で。でも期待大ですね。
 小栗康平は寡作な印象があるけれども、『死の棘』の岸部一徳松坂慶子が忘れられない。松坂慶子って演技が上手いのか下手なのか下手っぽいと思うのに、この映画では鬼気迫る様子がとても切なかった覚えがある。岸部一徳の淡々とした苦悩もとてもよかった。ラストのなんともいえないしみじみとした寂しさが、見終わった後数日続いた。役所広司の出ていた『眠る男』もかなりよかった。
 青山真治の国際批評家連盟賞『EUREKA(ユリイカ)』も役所広司は出ていたし、パルムドールをとった今村昌平の『うなぎ』も役所。世界的に注目株の黒沢清役所広司とコンビを組んだ作品にかなり面白いものが集中している気がする。そのうちカンヌで俳優賞でも取らないかなと期待してしまう。日本を代表するセクシー系カメレオンとして。