『シェフと素顔と、美味しい時間』

シェフと素顔と、おいしい時間 [DVD] 洗練された展開とセンスのいい画面。上手く組まれた台詞にアメリカを茶化す言葉がチラッと混じり、フランス映画のプライドの高さをがんがん感じる。もうとても堪能した。
 フランスの大竹しのぶことジュリエット・ビノシュ。若い頃の出演作は置いといて、正直言ってあまり好きではなく、この人が主演というだけで『ショコラ』は観てない。けれどこの映画のビノシュの魅力といったらもう。とにかく少女のようなキュートな笑顔をふりまいていた。
 ファッションもバイオレットのコートに深いレッドのマフラーを合わせて、透明バッグ。赤毛を混ぜた髪のアップが最高にかわいい。あの前髪は真似したいよ。最近主演作がいまいちな感のあるジャン・レノも最高にかっこいい。シャツの色もいい色で、ホテルのカーテンや椅子、小物に至るまで、とにかくこれでもかというくらいに洗練されている。優雅ということにとことんにこだわるお国らしい作品だった。
 話の内容は、ファンタジー的な大人の恋愛モノ。とにかく軽快で洒脱。ジャン・レノの無表情は味があってとてもいい。この手の作品にリアリティを求めるなど無粋。ああ映画って素敵。そのひとことに尽きる80分。芸達者なスター2人の競演は、とても面白かった。