顎関節症と私②

 そうは思ったが、一応私も歯医者に行って訴えてみた。すると先生は私の歯形をとり、何やらはめ込んでははずし、それを削ってまたはめて、を繰り返した。寝る時にはこれをはめたら良いよ、とかなんとか言って、透明な入れ歯を差し出した。
 がこんと上顎にはめると、なんかもうきついというかかえって苦しい。舌を圧迫するので、「おえぇ」というものが衝動的にやってくる。なんか苦しいんですけど、これでいいんすかと訴えると、「顎関節症の人は歯軋りをしている人が多く、これをはめれば負担がかからないよ」と。これで関節を矯正するんだよって。
 その言葉には少し異論があったが、寝ている間のことなんて自信を持って言えないので飲み込んだ。歯軋りするなんて聞いたことない。むしろ私は、歯軋りなんてしながら力強く真剣に眠っているというよりは、だらしなく口が開いている、という意見をよく聞くほう。
 しかしこの歯固めを装着していると、苦しさのあまり歯を食いしばってしまい、なかなか眠れない上に、慣れぬ物を噛みながらの睡眠なので、起きた時に顎が痛い。だからもう1年以上寝かせたまま。小学校の頃、歯列矯正を嫌々して歯並びはまともになったのだが、どうしてかみ合わせも正しくしてくれなかったのだろう。