伝説の男キム様

 ここ数日、妙にくさくさしている。そんな時に「ウ○ダーイン」のCMを見てやつ当たった。「あんたほんとにいつまでたってもキムタクだね!」キムタクは全然悪くない。
 その不動の人気は、もはや経済界やら芸能界やらが結託して作った、都市伝説に過ぎないと思っていた。そんなことなかった。キムタクについて何か書いている奴がいる、ちょっと覗いてこよう。という方が多くいることが分かった。しかし私は「キムタク」とくると、どうしても「(笑)」つきで考えてしまう悪い癖がある。本当にごめんなさい。
 彼はバラエティーであれドラマであれ、「キムタクとしてのオレ、を演じている男」。彼が「っていうか、まじ、それってさぁ」と、誰に対してもスカシてフランクなタメ口をきくとき、それは、「キムタクとして生きているオレ」が、「飾らないキムタク」像を「気取って演じている」、という不自然さがある。
 なんというか木村拓哉はキムタクに人生を乗っ取られた男なのだ。その虚像は、本人を飲み込むくらいに業界をあげての大掛かり。あややは「あややを演じている女の子」に見えるが、キムタクはそうじゃない。彼は人生がキムタク。優秀すぎるスター。この「自然体なオレ」は、人間的な匂いがない。でもたぶん本人だって、「オレはキムタクとして消費される人間だ」という不安もあるんだろうと思う。「キムタクはいつまで、どこまでいけるのだろう」みたいな。
「いつかキムタクだっておちるよ」という意見をよく耳にするけど、それはないと思う。多分キムタクは田村正和のようになると思う。いつの時代どんな時だって正和スタイル。何を演じても正和スタイル。いつまでたっても正和スタイル。それはそれですごい。その実80〜90%は確実に消えていくアイドルや若手俳優の中で、スターを創る神に選ばれた男なんだと思う。