『戦場のメリークリスマス [VHS]/Merry Christmas,Mr. Lawrence』

mxoxnxixcxa2006-01-09

 20年以上前の作品にもかかわらず未だに名前が通っていて、有名なあの曲も好きだし、ずっと気になっていた映画。どうしてか私の中で、この映画は名作で有名とインプットされていたので、浮かれながら再生した。
 メイクアップの軍人・坂本龍一教授のストレートな大根っぷりの鮮やかさに惚れた。力いっぱいすぎて、何言っているのかよくわからないよ。非常に力が漲った棒読み英語もまた味があるといえばあり、存在感ある眉毛にも釘付けだった。ステキな映画だ。Mr.ローレンス役のトム・コンティの日本語も難解だ。どこのポイントを楽しんで良いのか考えているうちに、終わってしまった。
 ハラキリ、ゼン、ギョウ、セイザ、ケンドー、オキョウと、西洋向けにオリエンタルジャポンを盛りだくさんの大サービス。得体の知れぬ堅物ジャパニーズ。血も涙もない。すごい、なんて非道なのだ。神風に吹かれる日本人って、感情も情熱もない鬼畜だったんだ…恐いわね日本人て。良かった西洋人で!いいえ、日本人個々人を憎むまい。戦時下という特殊な状況に集団で発狂したまでのこと。ほうら、ビートたけしさんは愛嬌があるじゃないか。彼に免じて日本人を許そうじゃないか。 そんなことを考えかけた。
 この作品の高評価が理解できぬお粗末な自分の頭を、厳しく叱り付けた。あ、そうかこの映画を観て、日本人はむせび泣きながら世界に向かって土下座すればいいのだな?ハラキリなんて所詮鬼畜な行為。潔い死の美学など無関係ですよね、テンノーセーに実態などございませんでしたよ、土俗的な得体の知れぬ迷信を信じていたのです日本人は。すんませんホントすんませんね。つかみ所が無く中身のとっちらかったものを「難解な作品」と呼んで煙に巻くのは賢いと思う。
御法度 [DVD] 主役は誰なのかとか、何が一番やりたかったのかとか、そういう些細な事なんかに縛られぬ自由さを持つ大島渚監督は、『御法度』といい同性愛に憧れがあるのだろうか。しかし作品自体にゲイっぽい感性は見当たらないし、いずれも閉鎖的状況下での禁断の愛というには表層だけ。軍曹がボウイ扮する捕虜に惹かれるという部分やその根拠を、「だって彼がボウイだからさ!」という理由でしか示せていない時点で、どうなんそれっていう。
 たぶん、デヴィッド・ボウイの美貌をいまいち理解できていない私が悪いのだ。このやおい映画は、禁断の愛に悩む軍曹を惑わせる魅惑の小悪魔ちゃん・ボウイの魔力を正しくキャッチできなきゃダメなのだろう。花をむしゃむしゃ食べるボウイは、すきっ歯だなと思うのは間違った反応に決まってる。
 ここは彼の悪魔的美貌に酔いしれるべき。高校生時代までボウイ様が演じていても、違和感など感じちゃ駄目ボウイ様なんだから。ボウイ様の有難さを知らない世代であることが恥ずかしい。この映画はいいところも悪いところもキャスティング。それ以前に、話自体がつまらないんだけども。
戦場のメリー・クリスマス 私は凡人なのだ。これは全部、「分かる人には分かる」映画の、分からない側の負け惜しみでした。音楽はとても良かった。この映画の作られた83年頃って、もう何度目かの世界的オリエンタルジャポンブームだったのだろうか。『SAYURI』の監督が軍国ジャパンを映画化したらこんな感じ。わからないのは、これを撮った監督がジャパニーズっていうことかしら。この映画に関してはサントラがいちばんいいかも。