ビバ10代

 私はヤマンバ前のアムラー世代なおばちゃんなわけで、女子高生というだけで性が商品として直結していた時代のど真ん中にいたのだった。ヴィトン欲しいし減るもんじゃなしと3万くらいで身売りする女子も、月10万のパパ持ちも、本当かハッタリかはともかくそんな話が転がっていた。
 女になる=性の捌け口としか思えなかった。何か凄い汚いものみたいな。女子というだけでおっさんの欲望に晒され、暇さえあれば彼氏の性欲のお相手をし、何か特別な人間でありたい、自分は何かあるはずだと思いたいのに、所詮女でしかないと教えられていくみたいな感じ。何一つうまくいかないし、何一つ思うとおりにならない。年をとることが凄く恐くて、16になれば焦り、17でもうおばちゃんだと思い、18でああ終わったと意味も根拠もなく考えたのは、あれは一体なんだったのだろう。
 足の太さが女子の価値を左右し、痩せた分だけ自信がもてると信じてみんなダイエットに励んだのだった。その上で軽いノリは忘れず悩まぬ女子を演出する。ヘビーなものは浮いてしまう。逃げ込む仮想空間もなく、アニメにも部活にもアイドルにも興味がないと、勉強かダイエットか彼氏くらいしか打ち込むものが見当たらない。根がオタク気質がギャルに属するのは超だるくて、映画が好きだ読書が好きだといったって、へえ凄いねオタク?やめてよ違うってば!みたいな。あらら、何だか凄いバカな女子高生が浮かびあがってきたよ。よく見たら自分だった。ネットが身近じゃなかった一昔前なので、今とは随分違うんだろうけども。
 ギャル系・オタク系・部活系でかなり違うと思うけど、でも結局、多くの10代女子はある程度自分が女であることに薄ぼんやりと失望する。そうして、あれ?でも待って。男子だって大変な重圧があるんじゃないかしら?なんて視野が広がり始めて自分ワールドから脱していくとともに、自らの女性性を受け入れていくのかも。
 とかく思春期の女子の過敏な神経はとても愛しい。10代の女子の煮詰まった息苦しさっていうのは、過ぎ去ってみるとなんだかとてもいたわしい。すごい傷つきやすいんだけども、傷つけてる犯人は膨れ上がった自我だったりする。可愛いなあ。