あなたが選ぶBSシネマ

 ベアーグミをお腹へ誘導しながら鑑賞。一緒になって、アナウンサー:「答えは…」 私:「A!」なんていってエンジョイする。待って!なんか間違って言い訳してるウザイ子がいるよ!と画面中央の小堺一機に向かって告げ口する。だからもう、この番組に佐藤江梨子をだすなと何度言ったら分かるんだ。
 前も書いたけれども、何故NHKは映画の番組となるとサトエリを出すのだろう。出るのはいい。映画が好きなんて、みな同じ。しかしこのサトエリという中途半端な生き物の必死さは、もう、もう、見苦しい。サトエリたるもの素直に乳寄せて行かんかいと。
「私、おっぱいタレントじゃなくてよ」「乳がでかいとバカなんて嘘。だって私、文学少女なんですもの」。わかったわかった。いちいちゴダール云々アピールするなと。なんでゴダール信者って、ゴダール信奉をわざわざ口にしたがるのだろう。ゴダリスト?ゴダリズム?分からぬけれども。
 私だって好きな監督はたくさんいる。アキ・カウリスマキの作品がどれくらい好きかなんて、聞かれればとめどなくお喋り可能。だからゴダール好きなんて、正直かっこいいのかも知れぬ。サトエリが「私はおっぱいだけのタレントじゃない!もっとインテリジェンスなの」と、いつもの泣きそうな顔と妙なテンションでアピールしたっていい。しかし我慢ならぬゴダリアン的姿勢をとったのを見逃せなかった。番組冒頭のアカデミー関連の話題で、サトエリは超しらけ顔。話を振られても「え、ちょっとわかんない」みたいなヤラしい苦笑を。
 この、ゴダリアンに共通する「私(僕)、ゴダールというパンピー(ここはあえてこの言い方)には到底理解できぬ、小難しいモノがスキなんだ。ハリウッド?そんなのクソ。アカデミーなんて低俗。商業映画なんてゴミですわね」という、もうこの鼻持ちならぬ姿勢は何なのだ。こういう人に限って、好きな映画に難解なものばかりを並べて優越感を見せたがったりするので、サトエリがどうかは知らぬが、なんていうかもうどっか行け。
 しかしちょっと待てよ、とも思う。私ははっきり言って、ゴダールが分からぬわけ。超退屈。何やってんのだからナニ。程にしか分からぬ単細胞なので、この一見、奇をてらっただけのようにも見える作品の楽しみ方が分かる人に、憧れているのかもしれない。ジェラシーなのかもしれない。その裏返しで私はゴダール信者が超嫌いなのかもしれない。多分違う。
 それでも『勝手にしやがれ』とか『気狂いピエロ』などすごく好きだし、『女は女である』とか『中国女』も楽しめた。しかし一昨年の『10ミニッツ・オールダー』とか、わけ分からん。あれはまあ、各監督色を出すというコンセプトだったからしょうがなくても、いつまでこの人は実験を続けるのだろう、みたいな。
 こういうことを言うとゴダリアンは決まって「困ったなあ」という顔でふっと笑い、「ゴダールは人を選ぶからねぇ」などと賢い人のような顔をして、同情の目を向ける。もしくは「ゴダールに選ばれた人間」を代表して得意そうにする。ああもう。しかし信者にしか響かない映画って、なんだかなあ。