さようなら

 マリリン・モンローの元夫、劇作家アーサー・ミラーが亡くなったそう。89歳の大往生。特に惜しいとか悲しいとかショックとかではないけれども、以前、付き合いで気が進まないまま行った『セールスマンの死』が忘れられない。無名塾仲代達矢主演で見た。
 ある男の人生が、信条や見栄や希望なんかとともにばらばらと崩れていく。その呆気なさや儚さが、本当に恐くて悲しかった。最後の台詞「兄さん私はどうすればいいんですか?兄さん私はどうすればいいんですか!」と、そのあとのブレーキ音が焼きついている。断ち切られるようにして終わった後、どうしようもない虚しさと身につまされるような寂しさが残る。