いるよ

mxoxnxixcxa2017-07-26

 なんと1年以上ぶりに、もなかアクセスしているということは随分と長らくの間、私はつつがなく暮らしていたんだろう。うーん?いや、そうだと思う。

 欧州仏国の田舎町に移住して3年以上が経ち、当初うっすらと希望はしていたものの予想まではできなかった割に、何かとんとん拍子に、初級とはいえ国家資格を取得し、ここ近辺では日本人初として、その専門職に就くことができ、晴れて正規雇用にもなり、そこそこのプロジェクトに参加しそこそこ及第点をいく結果を残し、外国人ながらも周囲の信用もちょっとばかりは勝ち取っただろう。

 過去のない国で新しい人生を手に入れた。自分の行動力をすごく誇らしく思う。何もかも失敗したと思っていたし、もう手遅れだと思っていた。明るい将来も思い描けなかったし、もうこの際もう全部リセットしてどこかに逃げたかった。実際私は、自分の足元を深く掘る方向で外に飛んで、その先に居場所を作ることが出来た。

 なのにどうして私はこうなのだ。自分が取るに足らない存在だと思い込むのは無意味な上に疲れるだけなのに、ひどく苦しい。

 認められたい。もっと認められたい。尊重されたい。結果を残したい。もっと何かを勝ち取りたい。もっと価値のある何かになりたい。評価されたい愛されたいのべつまくなしで求められたい。

 もうベースは手に入れたじゃん。あとはこつこつ継続していくだけなのに、もっともっと欲しい。いつになったら満足するのだ。欲しくてたまらなかったものを手に入れても、まだ足りない。でっかい穴が開いていて、もっともっと、どうしてどうしてどうして私はダメなのっていうばかりだ。馬鹿みたいだ知ってるけど。どうしようもないの。

 私はずいぶん上手くやっていると思う。深呼吸をして、にっこり笑って、なんてことない顔をする。これだけのことだ。こうやって上手くやってきた。けれどたまにこうやって、しんどい波が来るとやっぱりしんどい。

 知ってる。これ誕生日だった所為たぶんきっと絶対。

 いつからか、誕生日が来るごとにひどく苦しい。自分が取るに足らない者なんだと思い知らされるみたいで苦しい。しょうがないじゃん外国で気ままに暮らしてるんだもん。別にパーティーとかしたいんじゃない。手に入らないものを思い知らされるみたいな気分がきついのだ。手に入れなかったもの、もしくは入れられなかったもの、選べなかったものというか、選択肢にあげられないで来たものに意識が向いてしまうのが、たまらなくきつい。

 私は家庭や母親に向くタイプではないし、私の母もまた母親に向くタイプの人ではなかったから、ある段階でうっすらと、親にはならない人生をゆこうと何処か決めて生きてきた。だから何かに特化した人生を歩めたらと願ったし、なんとなくそれっぽく生活しているというのに、どうしてこんなに、いつまでたっても悲しいんだろうか。どうして幾つになっても達観できなくて寂しいのだろう。ひと段落した生活の中で、どうしてこんなに居たたまれなくて孤独なんだろう。私を好きだと言う人にも出会っても、どうして私は愛され方がわからないのか。どうして温かいものを無邪気に手に出来ないんだろう。馬鹿みたいだと思っているのに、どうしたらいいのかがいつまでたっても分からない。どうしてこんなに、いつまでたっても満たされないんだろう。

 知ってる。何もかも誕生日が悪い絶対たぶん恐らくきっとそう。だと思ってる。

 年を得るごとに、強く逞しくなってきたなあって実感する。なのに時々ひどく悲しい。友人もいて恋人もどきもいても、悲しくて寂しくて耐えがたい。だから仕事で結果を残したいの。誰よりもやり遂げたいの。まずはこの春に大きな一歩を残したのに、それでもそれなのに、もっともっともっとって飢えた何かみたいに感じるのがきつい。私は本当に取るに足らない。いやいやそうじゃないよ、そこそこの仕事してるじゃん、評価もされてるじゃん、すごいじゃんやったよもにか。知ってるそれくらい。でも欲しいのはもっともっとの何かで、何が欲しいのかも正体不明なのに、いつまでたっても乾いたままだ。

 日本語を声に出して話すのは月1回か2回って暮らしをしてるの。明日も笑顔で出勤するから、だから誰か聞いてお願い。すごく大きな穴が開いていて、何を放り込んでも、もっともっとって言う。頭を使えよってプチもにかが言う。頭を使って現状を分析して説得して、脳を騙してしまえよって言う。今それの途中。

 誕生日は嫌い。私は私のまま幸せになりたいの。私のまま充足したいの。なのにどうして何にも満足できないんだろう。どうしてこんなに乾いているんだろう。

 だからこうやってカオナシになってへどろを吐いたら、明日はいつもの明るいジャポネーズとして踏ん張る。

 いやあ三十路を折り返してからも、結局なんていうかこう、たまにきっついですね!大丈夫。ちゃんといつも冷静なもにかが、処世術の何たるかを実践する術は知ってるんだから。だからお願い誰か聞いて欲しいの。知らない誰かに頷いて欲しい。何か千切れそうに寂しい。何かがすごく悲しい。どうしてこんなに何かが足りないんだろうか。どうしていつまでたっても惨めなんだろう。